BlueskyユーザーがATプロトコルを使うためにやるべき6つのこと

山貂 February 23, 2026
Source
BlueskyはATプロトコル(atproto)の上に構築されたSNSですが、Blueskyユーザーのほとんどはatprotoを活用できているとはいえません。Bluesky社が乱心したら、全てを失う人が大半でしょう。[^note]\ これは、そうなりたくない人のためのガイドです。atprotoには「信頼できる出口(credible exit)」がありますが、事前準備無しに使うことはできません。 [^note]: もちろん、atprotoの利点はそれだけではありません。私自身は、atprotoのサービスの多様性に魅力を感じており、今のアカウントが消えたところでさほど気にしないでしょう。ただ、「分散型SNS」という触れ込みでBlueskyにやってきた多くの人にとって、Blueskyに命を握られていては意味が無いでしょう。これは、そんな人たちのための記事です。 なお、この記事では具体的な手順については細かく説明しません。その辺りを補完した完全版はそのうち誰かが作ってくれることに期待しましょう。 レベル1: バックアップ まずはデータのバックアップをとりましょう。バックアップさえ持っておけば、何もかも失っても、新アカウントにインポートすることができます。 単発でバックアップするだけなら、Blueskyウェブクライアントから「私のデータをエクスポートする」をクリックするだけです。ただ、これを定期的にやるのも面倒ですし、何より画像や動画などのメディアファイルはバックアップに含まれないため、別途ダウンロードしておく必要があります。 もっと便利な方法として、AT Backupやbsky.storageと言ったツールがあります。他にも多数あるので、自分に合ったものを探してみてください。 レベル2: 独自ハンドル というハンドルは、Bluesky社の管理下にあります。例えば、名刺にハンドルを印刷している人は、将来そのハンドルが無効になったり、他アカウントに乗っ取られてしまうかもしれません。\ 独自ドメインのハンドルを持つことでこのようなリスクを回避し、さらに他サーバーへの引越し(後述)後にも同じハンドルを使い続けることができます。 もし既に自分のドメインを持っているなら、bsky.appの設定画面に従い、TXTレコードを追加します。\ 持っていない場合はBlueskyのドメイン販売を利用するのが一番お手軽ですが、もちろん他のドメインレジストラで独自ドメインを取得しても構いません。 GitHub Pages等を使うこともできますし、Skynameのようにドメインを提供してくれるサービスもありますが、利用する際はハンドルが相手の管理下に入ることに注意しましょう。\ また、自分でドメインを買っても、手放してしまったら同じことです。 ちなみに、名刺にQRコードで印刷するような用途の場合、独自ドメインの有無に関わらず、ハンドルの代わりにDIDを使うのが最も安全です。これならハンドルが変わっても、自動で追跡してくれます。[^plc]\ 例えばBlueskyの公式アカウントのDIDを調べるとであることがわかります。普通は https://bsky.app/profile/bsky.app でプロフィールページにアクセスしますが、 https://bsky.app/profile/did:plc:z72i7hdynmk6r22z27h6tvur でも同じページにアクセスできる、ということです。後者であれば、ハンドルが変わってもアクセス可能で切るためリンクにはDIDを使うのが安全です。[^didcopy] [^plc]: atprotoに詳しい方は、did:plcだってBluesky社の管理下にあるじゃないか、と思うかもしれません。しかし、plc.directoryの管理は独立法人への移管が進んでいます。また、既に多数のミラーがあるため、第三者が管理を引き継ぐことも可能です。その場合、エコシステム全体でどうやって後継サーバーを一つに決めるかというのは大きな課題ですが……。 [^didcopy]: 余談ですが、bsky.app内でもDIDを取得する裏技があります。設定画面からバージョン番号を長押しして開発者モードを有効にすると、投稿の共有メニューやプロフィールの詳細メニューに「DIDをコピー」という項目が追加されるはずです。 レベル3: ID制御権取得 バックアップはあくまで「データを別アカウントに引き継げる」だけです。旧アカウントと同じハンドルを設定することはできても、フォロワーやリプライは引き継げません。\ しかし、IDの制御権を握っておけば、ある日突然Bluesky社のサーバーが消え去ったとしても、新しいサーバーで同じアカウントを復活させることができます。この場合は相手のデータが消えてさえいなければ、フォロワーやリプライも引き継がれます。 IDの制御権を得るには、PLCサーバーへの公開鍵(rotation key)登録という手順が必要です。この手順はちょっとややこしいのですが、boatを使えばいくらか楽になるでしょう。\ プロトコル開発者自身による解説も参考にしてください。 秘密鍵が漏出してしまった場合に備えて、最上位の権限を持つ非常時用の鍵をもう一つ作っておくと安心かもしれません。ただし、それでも盗まれた鍵による操作を巻き戻せるのは72時間以内だけです。鍵の管理には十分注意してください。 レベル4: サーバー引越 ID制御権まで取得していれば、事前にすべき準備はほぼ終わっています。後は有事になったら引越すだけです。お疲れ様でした。\ ただ、今のうちに下見をしたり、早いうちに引越してしまうのもいいかもしれません。ここで引越対象となるサーバーは、データやアカウント情報の管理を担当しており、PDS(Personal Data Server)と呼ばれています。 PDSを探すときは、例えばPDS一覧が参考になるでしょう。誰でも歓迎なPDSとしては、selfhosted.socialが有名です。\ もちろんセルフホストもできます。よほど信頼できる相手でなければ、他人のPDSを借りるのは一時的しのぎ、くらいの認識でもいいかもしれません。 引越しツールとしてはPDS MOOverが有名で、元のPDSが利用可能な場合(Moover)と利用できない場合(Restore)の両方に対応しています。 当然ですが、引越し先の管理下に入ることになるので、利用規約などはしっかり確認しておきましょう。 レベル5: Bluesky以外のAPI PDSを引越しても、APIサーバー(appview)は相変わらずBlueskyが提供しているものを使っています。多くの方は、クライアントもBluesky公式のものを使っているでしょう。\ いざという時はこれらも切り替える必要があるため、今のうちに試しておくと安心です。 例えば、国産サードパーティクライアントであるTOKIMEKIには、ワークスペース設定に「AppViewプロキシを変更」という項目があり、APIサーバーを切り替えることができます。\ 現時点でBluesky互換のAPIサーバーとしては、Blackskyというものがあります。まだ準備中のためデータは不完全ですが、将来的にはBlueskyと同等の機能を提供してくれるでしょう。を設定することで、BlackskyのAPIサーバーを使うことができます。 ちなみに、APIサーバーを変えることで適用されるモデレーションが代わる可能性があります。bsky.app上でアカウントが停止されたように見えても、APIサーバーを変えれば普通にアクセスできることもあるかもしれません。 レベル6: Bluesky以外のモデレーター Bluesky appviewを使っている限り、利用者はBluesky社のモデレーションの影響下にあります。疎ましく感じる人もいるでしょうが、これによって多くの人がスパムなどから保護されていることも事実です。\ 現状、Blueskyに代わるだけの規模と役割を持ったモデレーションサービスは存在しません。一応出てきた時に備えて、探し方だけ覚えておきましょう。 atprotoのモデレーションサービスはラベラーと呼ばれています。一覧にまとめた外部サービスが幾つかありますが、例えばBluesky Labelersを覗いてみると良いでしょう。 おまけ: Bluesky以外のatprotoサービス ついでに、atprotoアカウントが一つあれば、他のatprotoサービスが使えることも知っておいてください。 同じマイクロブログサービスなら互換性のあるAPIサーバーを変えれば十分だと思いますが、他にも長文投稿やブックマーク、支援サイト等、多様なサービスが出てきています。\ これらは、単にatprotoアカウントでログインできるというだけではなく、ここまで紹介してきたように他サービスへの引越しが可能なものです。代替サービスが出てきているものは稀ですが、例えば長文投稿サービスであるWhiteWindに対しては、GreenGaleがデータの互換性を持っています。 番外: 他プロトコルの利用 誰にも邪魔されないことを第一に優先するなら、そもそもatprotoはあまり向いていないかもしれません。atprotoは中央集権的なサービスの使い勝手を維持しながら、その中で分散型の利点も享受できるように設計されています。\ 例えばNostrを使ったり、自分でActivityPubサーバーを運用したりすれば、技術的には何人もあなたを邪魔することは難しいでしょう。 Bounceを使えば、データを保ったままMastodonやPixelfedに移行することもできます。

Discussion in the ATmosphere

Loading comments...